
日本の鍋文化は、地域の気候・特産・風土・歴史とともに発展してきました。
冬の寒さを乗り切る知恵や、海・山の幸を活かす工夫など、その土地ならではの味わいと文化が鍋には凝縮されています。
ここでは、北海道から九州まで、旅行で訪れたらぜひ味わいたい全国の郷土鍋(ご当地鍋)15選を紹介します。
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北海道|石狩鍋(いしかりなべ)

北海道を代表する冬の味覚。
石狩川流域で生まれ、鮭と野菜を味噌仕立てのスープで煮込むのが特徴です。
バターや牛乳を加える現代風アレンジも人気。冬の海の幸をたっぷり味わえます。
札幌や小樽の居酒屋、温泉宿の夕食メニューでもよく提供されています。
東北|きりたんぽ鍋(秋田)

秋田県を代表する郷土料理。すりつぶした新米を竹に巻きつけて焼いた「きりたんぽ」を比内地鶏の出汁で煮込む伝統の鍋です。ごぼう、舞茸、せりなど香り高い具材が特徴で、滋味深い味わいです。
秋田市内では「きりたんぽ作り体験」ができる施設もあります。
東北|せんべい汁(青森)

南部地方(八戸市周辺)に伝わる、小麦粉のせんべいを具材として煮込むユニークな鍋。
出汁を吸ったせんべいのもちもち食感がクセになります。
小麦の香ばしさと野菜の甘みが絶妙にマッチし、寒い冬にぴったりの郷土の味。
東北〜中部|いも煮(山形・新潟など)

秋の風物詩として親しまれる、里芋・牛肉・醤油ベースの鍋。
東北では河原で大鍋を囲む「芋煮会」が恒例行事。
地域によっては味噌味や豚肉を使うなど、バリエーションも豊富です。
“秋のピクニック鍋”として、地元の人々の交流を象徴するイベントにもなっています。
関東|あんこう鍋(茨城)

冬の味覚・あんこうを主役にした茨城県の名物鍋。
味噌と肝(あん肝)を溶かした濃厚なスープが特徴で、コラーゲンたっぷり。
「吊るし切り」と呼ばれる独特の調理法も見どころのひとつです。
大洗町では冬になると「あんこう祭」が開催され、旬のあんこう料理が楽しめます。
中部|ほうとう鍋(山梨)

山梨県の郷土料理で、幅広の平打ち麺を味噌ベースのスープで煮込む素朴な鍋。
かぼちゃ、里芋、きのこなどの野菜がたっぷり入り、冷えた体を芯から温めてくれます。
河口湖周辺や甲府市内では、古民家風のほうとう専門店が人気観光スポットになっています。
中部〜関西|しし鍋(ぼたん鍋)

猪肉を味噌出汁で煮込む、冬の山里を代表する鍋。
丹波や岐阜、長野では、脂ののった猪肉を白菜・ネギ・こんにゃくと煮込みます。
「ぼたん鍋」という名は、皿に盛られた肉が牡丹の花のように見えることから。
野趣あふれる旨味とコクで、寒い山間の冬を乗り越える知恵が詰まった一品です。
郷土料理店では、囲炉裏を囲んでいただく伝統的なスタイルも人気。
関西|鴨鍋(京都)

京都の冬を彩る上品な鍋。
鴨肉の旨味と九条ねぎの甘みが絶妙に溶け合う、出汁文化の粋を感じる一品です。
締めにそばを加えて「鴨なんばん風」にするのも京都流。
鴨は冬が旬で、脂ののった柔らかい肉質が魅力です。
関西|湯豆腐(京都)

京都の冬を代表する、素材の味を生かした上品な鍋。
昆布出汁で温めた豆腐を、ポン酢やごまだれ、薬味でいただきます。
シンプルながらも奥深く、豆腐本来の味が楽しめる料理として人気。
南禅寺や清水寺周辺の湯豆腐専門店は冬の観光定番スポット。
ベジタリアン・ヴィーガン対応メニューも多く、海外旅行者にも好評です。
北陸〜山陰|カニ鍋(かになべ)

冬の日本海を代表する贅沢鍋。
越前ガニ・松葉ガニ・香住ガニなど、地域ごとに異なるブランド蟹を楽しめます。
出汁にカニ味噌を溶かすと、旨味が格段にアップ。
シメは雑炊やうどんで、スープの最後の一滴まで味わいたい逸品です。
香住・城崎温泉・三国温泉などでは、宿の夕食で提供されることも多く、冬の旅の醍醐味です。
関西〜山口|ふぐ鍋(てっちり)

冬の高級鍋として知られる、ふぐを使った関西・山口発祥の鍋。
透明な白身に上品な甘みがあり、昆布出汁で煮るとふぐの旨味がじんわり広がります。
薬味ポン酢で味わい、最後は雑炊で締めるのが定番。
下関や大阪・北新地などでは、冬の味覚として観光客にも人気です。
中国|牡蠣の土手鍋(広島)

広島名物の牡蠣を味噌で煮込む鍋。土鍋の縁に味噌を「土手」のように塗ることから「土手鍋」と呼ばれます。
プリプリの牡蠣と濃厚な味噌の相性は抜群で、日本酒にもよく合います。
冬の広島では、牡蠣小屋や居酒屋で手軽に味わえます。
四国|いもたき(愛媛)

愛媛県の秋から冬にかけての名物鍋。里芋、鶏肉、こんにゃく、きのこ、ネギなどを甘辛い出汁で煮込む素朴な郷土料理です。発祥地は大州市とされ、江戸時代から続く「いもたき会」と呼ばれる風習では、人々が河原に集まり、大鍋を囲んで秋の夜長を楽しみます。
家族や友人と屋外で鍋を囲むその文化は、まさに“日本人の団らん”を象徴する一品。
旅行者にも体験イベントとして人気があります。
九州|水炊き(福岡)

福岡を代表する郷土鍋。
鶏ガラをじっくり煮込んで作る白濁スープが特徴で、コラーゲンたっぷり。
具材は鶏肉と野菜が中心で、ポン酢でいただくのが定番です。
博多の老舗店では、スープを“飲みながら味わう”コース形式で提供されます。
九州|もつ鍋(福岡)

福岡発祥の人気鍋。
牛や豚のもつ(ホルモン)をニラ・キャベツ・にんにくと一緒に煮込むスタミナ料理です。
味噌・醤油・塩など味付けの種類も多く、シメのちゃんぽん麺は必食。
戦後の屋台文化から生まれた庶民派グルメとして、今や全国区の人気を誇ります。
まとめ:旅先で味わう“土地の一杯”

郷土鍋は、その土地の気候・文化・人の暮らしを映し出す一杯です。
旅先でその地域の鍋を味わえば、観光では見えない日本の“日常の温かさ”に触れることができます。
🍶鍋と一緒にその土地の地酒を楽しむのもおすすめです。また、鍋の基本や全国の定番鍋を知りたい方は👉 日本の鍋料理完全ガイド(Part 1)|寄せ鍋・すき焼き・しゃぶしゃぶ・おでんまで冬の定番を紹介 もチェックしてください!