東京から新幹線で最短1時間20分。それだけの距離感なのに、長野県には、日本アルプスの峰々、歴史ある城下町、静かな温泉地、そして息をのむような高原の風景が広がっています。
「日本はもう何度か来ている。でも、いつも同じ場所ばかりになってしまう」という旅行者にこそ、長野県を強くおすすめしたいと思います。軽井沢や松本城は知っていても、野沢温泉や別所温泉、志賀高原の静けさを知る外国人旅行者はまだそれほど多くありません。
この記事では、長野県を主要エリアに分けて紹介します。
観光スポットの情報だけでなく、東京からのアクセス、現地の移動手段、外国人旅行者が迷いやすいポイントも一緒にまとめました。長野を初めて訪れる方も、リピーターの方も、それぞれの旅にフィットする情報がきっと見つかるはずです。
長野県ってどんな場所?

長野県は、本州のほぼ中央に位置する内陸の県です。海はありませんが、その分、山・森・川・高原といった自然資源が圧倒的に豊かです。北アルプス・南アルプス・中央アルプスという日本三大アルプスのすべてが長野県に接しており、「日本の屋根」とも呼ばれています。
また、長野市・松本市・軽井沢・白馬・上高地・野沢温泉・志賀高原・上田・別所温泉と、県内にエリアが多く点在しているのが特徴です。それぞれのエリアが独自の魅力を持っているため、何度訪れても新しい発見があります。
旅のスタイルに合わせてエリアを選ぶのがポイントです。 文化と歴史を楽しみたいなら松本や上田、リゾート感を求めるなら軽井沢、自然の中に浸りたいなら上高地や白馬、温泉でゆっくりしたいなら野沢や別所温泉が向いています。
東京から長野へ
新幹線が主なルート
東京(東京駅)から長野・松本方面へは、主に北陸新幹線(長野・上田方面)と特急「あずさ」(松本方面)を利用します。
- 東京 → 長野市:北陸新幹線「かがやき」「はくたか」で約1時間20〜30分
- 東京 → 上田:北陸新幹線で約1時間10分
- 東京 → 松本:特急「あずさ」で約2時間30分(新宿発)
- 東京 → 軽井沢:北陸新幹線で約1時間10分(最短)
JR Pass(外国人向け鉄道パス)は北陸新幹線の一部区間(東京〜上越妙高間など)に適用されますが、長野〜金沢間は2024年3月の延伸以降も別途確認が必要です。 最新の適用範囲は、JRのオフィシャルサイトまたは購入代理店にご確認ください。
長距離バス(高速バス)も選択肢に
時間はかかりますが、バスは新幹線より料金を抑えられます。新宿〜松本間は約3〜3.5時間で、事前にウェブ予約できる便も多く、外国人旅行者でも使いやすくなっています。
エリア別ガイド
松本

長野県の中でも、外国人旅行者から特に人気が高いのが松本です。その中心にあるのが、松本城(Matsumoto Castle)。国宝に指定された黒壁の天守閣は、白馬の峰々を背景にそびえ立ち、訪れる人を圧倒します。
松本城の周辺には、歴史的な街並みが残る「中町通り」や「縄手通り」があります。カフェ、酒蔵、工芸品店などが並ぶ通りを歩くだけで、観光というより暮らすように旅する感覚が生まれます。
外国人旅行者への注意点:
- 松本城の入場には現金・カード両方使えますが、込み合う時間帯は入場制限がかかることも。朝9時台に訪れると比較的スムーズです。
- 城内は急な階段が多く、靴を脱いで登る場面があります。スリッパに履き替えるエリアもあるため、動きやすい服装を推奨します。
松本からはバスで上高地へのアクセスが可能なため、2泊プランの拠点としても優秀な街です。
上高地

標高1,500メートルに広がる上高地は、梓川の清流と北アルプスの山々が一体となった、日本でも屈指の自然景観を誇るエリアです。環境保護のため、一般車両は乗り入れ禁止になっており、松本や沢渡(さわんど)からシャトルバスまたはタクシーで向かいます。
河童橋(かっぱばし)周辺から望む穂高連峰の眺めは、何度見ても息をのむ美しさです。ハイキングコースは整備されており、スニーカーでも歩けるルートから本格的なトレッキングコースまで幅広く揃っています。
上高地は4月下旬〜11月中旬のみ開山しており、冬期は閉鎖されます。 夏の週末は特に混み合うため、平日の訪問や早朝出発を検討すると、より静かな上高地を楽しめます。
軽井沢

軽井沢は、明治時代から外国人に愛されてきたリゾート地です。東京から新幹線で1時間強という近さながら、別荘地の静けさと洗練された雰囲気が漂います。
旧軽井沢銀座と呼ばれるメインストリートにはカフェやショップが並び、散策するだけで楽しいエリアです。一方で、少し足を延ばすと、白糸の滝や雲場池(くもばいけ)など、自然の中の静かなスポットも見つかります。
軽井沢の少し深い楽しみ方として、「ハルニレテラス」や「星野エリア」がおすすめです。星野リゾートが開発したエリアで、ショップ・レストラン・温泉が集まり、自然の中でゆったり過ごせます。英語対応のスタッフも多く、外国人旅行者にとって入りやすいエリアです。
軽井沢内の移動は、レンタサイクルが定番です。坂が少なく、風景を楽しみながらゆっくりペダルを漕ぐのが軽井沢らしい過ごし方といえます。
白馬

白馬村は、1998年長野冬季オリンピックのスキー会場として世界に知られた場所です。しかし今は、冬のスキーシーズンだけでなく、夏のハイキングやサイクリング、秋の紅葉シーズンにも多くの旅行者が訪れます。
白馬の特徴のひとつが、オーストラリアや欧米からの旅行者が多いこと。 英語対応のゲストハウスやレストランが充実しており、長野県の中でも特に外国人旅行者が過ごしやすいエリアです。
夏の白馬では、八方尾根のゴンドラとリフトを乗り継いで標高2,000メートル以上の草原へアクセスできます。高山植物が咲き乱れる景色は、登山経験がなくても楽しめます。
東京からのアクセスは、松本経由でJRを利用する方法か、新宿からの直行高速バスが便利です。
長野市

長野市のシンボルといえば、善光寺(Zenkoji Temple) です。約1,400年の歴史を持つ仏教寺院で、宗派を問わず参拝できることから、古くから「一生に一度は善光寺詣り」と言われてきました。
本堂の地下には「お戒壇巡り(おかいだんめぐり)」という真っ暗な回廊を歩く体験があります。光がまったくない空間の中を手探りで進み、錠前に触れることで「極楽往生のご利益がある」とされており、独特の体験です。初めての方は少し驚くかもしれませんが、ほとんどの方が印象深い体験として話してくれます。
善光寺への参道には、和菓子屋・そば店・土産物屋が並んでいます。長野の郷土そば「戸隠そば」は、この地域のもう一つの文化。細くてコシのあるそばを、ぼっち盛りと呼ばれる独特の盛り付けで出すスタイルが特徴です。
野沢温泉

野沢温泉は、長野県の北部に位置する小さな温泉村です。13か所の外湯(共同浴場)が村の中に点在しており、地元の人と旅行者が一緒に入浴するスタイルが今も続いています。
外国人にはまだ知名度が高くない分、混雑が少なく、温泉本来の雰囲気をゆっくり体験できます。外湯の利用は基本的に無料(寸志として賽銭箱に入れる習慣があります)ですが、石鹸やシャンプーの使用は禁止されており、湯に浸かるだけのシンプルな入浴スタイルです。タオルは持参してください。
冬はスキーリゾートとしても知られており、ゲレンデと温泉街が近接しているため、スキー後に温泉へ直行できる動線が心地よいです。
別所温泉・上田

上田市は、戦国時代の名将・真田氏ゆかりの城下町です。上田城跡公園は桜の名所としても有名で、春になると花見客で賑わいます。NHKの大河ドラマの舞台にもなったことで、近年注目を集めています。
そこから電車で約15分の場所にある別所温泉は、長野県最古の温泉地のひとつとされています。国宝・重要文化財指定の寺院や塔が点在する静かな温泉地で、観光客は多いものの、どこかのどかな雰囲気が続いています。
「信州の鎌倉」と呼ばれることもあるほど、寺社と温泉と自然がコンパクトにまとまったエリアです。上田から日帰りで十分楽しめます。
志賀高原

志賀高原は、長野市から車で約1時間のところにある高原エリアです。冬はスキー場が連なるウインターリゾートとして知られていますが、夏になると湿原や高山植物の宝庫に変わります。
一沼(いちのうま)や蓮池(はすいけ)周辺は、夏の散策コースとして整備されており、鏡のような水面にアルプスの木々が映り込む風景が魅力です。 人が少なく静かで、写真を撮りながらゆっくり歩くのに向いています。
長野市から路線バスでアクセス可能ですが、シーズンによって運行スケジュールが異なるため、事前に確認することをおすすめします。
長野県を旅するうえで知っておきたいこと
季節と旅のスタイルについて
長野県は四季それぞれに異なる表情を持ちます。
- 春(4〜5月):上田城の桜、上高地の開山(4月下旬)
- 夏(6〜8月):上高地・白馬のハイキング、白馬の高山植物
- 秋(9〜11月):上高地・志賀高原の紅葉、温泉シーズン本番
- 冬(12〜3月):白馬・野沢・志賀高原のスキー、温泉めぐり
どのシーズンも魅力がありますが、7〜8月の夏休み期間と年末年始は特に混み合います。 人気エリアの宿泊は2〜3か月前からの予約がおすすめです。
現地での交通について

長野県は広いため、エリア間の移動には計画が必要です。松本〜白馬間はJRの大糸線で約1時間。長野〜野沢温泉間は直通バスが便利です。上高地へはマイカー規制があるため、必ずバスやタクシーを利用してください。
国際免許を持っていればレンタカーは非常に便利で、公共交通がカバーしにくいエリアにも自由に移動できます。ただし、冬季の山間部は積雪があり、スタッドレスタイヤの確認が必須です。
言語・支払いについて
軽井沢・白馬・松本城周辺など主要観光地では英語表示が整っています。一方、野沢温泉や別所温泉などのローカルエリアでは日本語のみの場合も多いです。Google翻訳アプリやカメラ翻訳機能は非常に役立ちます。
支払いについては、主要観光施設やホテルではクレジットカードが使えますが、地元の小さな食堂や共同浴場では現金のみの場合があります。日本円の現金を一定額用意しておくと安心です。
不安な方はこちらを事前にチェック!
まとめ

松本城の黒い天守閣を仰いで始まる旅が、気づけば野沢温泉の外湯で地元のおばあちゃんと笑いながら終わっていた──長野県の旅には、そういう予想外の出会いが似合います。
有名どころだけを巡るより、少し足を延ばして自分だけの長野を見つけてほしい。そう思えるエリアが、長野県にはいくつもあります。
こんな方に特におすすめです:
- 日本を2回以上訪れたことがあり、新しい体験を求めているリピーター
- 自然の中でゆっくり過ごしたい方
- 温泉文化を実際に体験してみたい方
- 東京からの週末旅行や1〜2泊の短い旅を考えている方
長野県は、一度では語り切れない場所です。まずは気になるエリアからでも、ぜひ計画を立ててみてください!

