山梨を旅すると、かなり高い確率で出会うローカルフードがあります。ひとつはほうとう、もうひとつは吉田のうどんです。
どちらも「山梨の麺料理」として紹介されることが多いですが、実際に食べてみると印象はかなり違います。ほうとうは、湯気の立つ鍋でゆっくり味わう郷土料理。吉田のうどんは、地元の食堂で力強い麺を噛みしめるローカルフードです。
東京から山梨へは、甲府方面にも富士五湖方面にも行きやすく、日帰り旅行や1泊旅行にも組み込みやすいエリアです。この記事では、山梨旅行でぜひ試したいほうとうと吉田のうどんの違い、食べられるエリア、旅程への入れ方、外国人旅行者が知っておきたい注意点を紹介します。
河口湖、富士五湖、忍野八海は名前を聞く機会が多いですが、初めてだと違いが少し分かりにくいかもしれません。山梨旅行のエリア選びに迷ったら、こちらの記事も参考になります。
まずは違いを簡単に比較
ほうとうと吉田のうどんは、どちらも山梨を代表するローカル麺です。ただし、料理としての印象はかなり違います。
ほうとうは、平たい麺をかぼちゃや野菜と一緒に味噌仕立ての汁で煮込む、鍋料理に近い郷土料理です。一方、吉田のうどんは、富士吉田周辺で親しまれてきた、太くてコシの強いローカルうどんです。
大まかに比べると、次のようになります。
- 味の印象
ほうとう → 味噌とかぼちゃ、野菜の甘みが合わさった、まろやかでやさしい味
吉田のうどん → 味噌や醤油を使った汁に、力強い麺、甘辛い馬肉、茹でキャベツなどが合わさる素朴な味 - 食感の違い
ほうとう → 平たい麺が汁となじみ、やわらかく食べやすい
吉田のうどん → 太く硬めの麺を、しっかり噛んで味わう - 楽しみ方の違い
ほうとう → 熱々の鍋から食べるので早く食べるのは難しい。店によっては提供まで時間がかかることもあるので、ゆっくり食事を楽しむ感覚で訪れると安心
吉田のうどん → 昼に地元の食堂でサクッと食べる雰囲気。店ごとの麺や汁、トッピングの違いを食べ比べる楽しさがある
ほうとうは、味噌と野菜を楽しむあたたかい鍋料理

ほうとうの魅力は、味だけでなく、運ばれてきたときの迫力にもあります。多くのお店では、1人前ずつ小さな鍋で煮込まれ、その鍋ごと熱々の状態で提供されます。テーブルに置かれると、味噌の香りと湯気が立ち上がり食欲をそそられます。
具材はかなり豊富で、定番はかぼちゃです。味噌の塩気に、かぼちゃの自然な甘みが溶け込み、やさしい味になります。ほかにも、きのこ、にんじん、白菜、ねぎ、里芋などが入り、肉入りや、キムチ入りのピリ辛味を提供する店もあります。特にきのこ入りのほうとうは、山梨の山の雰囲気を感じやすい一品です。
ほうとうは麺だけを楽しむ料理というより、野菜、味噌、平たい麺を一緒に味わう具沢山の鍋料理です。店によっては注文を受けてから煮込むため、提供まで少し時間がかかることがあります。量もしっかりしているので、昼食や早めの夕食に向いていますが、夜は閉店やラストオーダーが早めの店もあります。人気店では行列になることもあるため、時間に余裕を持っておくと安心です。
吉田のうどんは、強いコシとローカル感が魅力

吉田のうどんは、麺が太く、かなり硬め。のどごしよりも、しっかり噛んで小麦の味を味わううどんです。
ただし、吉田のうどんはどのお店でも同じ味というわけではありません。小規模で営業しているお店も多く、店ごとに汁の味や麺の太さ、コシの強さが少しずつ違います。手打ち麺を出すお店もあり、同じ「吉田のうどん」でも、食べ比べてみると印象が変わるのが面白いところです。
汁は味噌ベース、または味噌と醤油を合わせたものが多く、素朴ですが力強い味わいです。定番の具材は茹でたキャベツ、甘辛く煮た馬肉、にんじんの千切り、油揚げ、ねぎなど。お店によっては、卵、天ぷら、わかめなどを好みでトッピングできることもあります。
観光客向けに整えられたレストランというより、地元の人が昼ごはんを食べに来る食堂のようなお店も多く、そのローカル感こそが吉田のうどんの魅力です。
時間があれば、1軒だけでなく、別の日や別の機会にもう1軒試してみるのもおすすめです。
山梨らしい辛味調味料「すりだね」も試してみたい
山梨でほうとうや吉田のうどんを食べるとき、テーブルの上で見かけることがあるのが「すりだね」です。山梨県東部、特に富士吉田・河口湖周辺で親しまれてきた辛味調味料で、唐辛子をベースに、ごま、山椒、油などを合わせて作られます。

七味唐辛子が料理にふりかける「香りのある辛味」だとすれば、すりだねは汁に少し溶かして、味そのものを変えるような使い方に近いです。しっとりした質感のものも多く、辛さだけでなく香ばしさや旨みも加わります。
自家製のところも多いので、辛みが強いもの、山椒の香りが立つもの、ごまや油のコクを感じるものなど、場所によって味わいが微妙に異なります。
吉田のうどんに加えると、味噌や醤油ベースの汁に辛みと香ばしさが加わります。ほうとうに入れると、味噌とかぼちゃのやさしい甘みにアクセントが出て、後半も飽きずに食べやすくなります。最初からたくさん入れず、まずはそのまま食べて、途中で少しづつ加えるのがおすすめです。
小さな瓶やパックで販売されているものもあるので、山梨らしいお土産としても向いています。うどんや鍋料理だけでなく、ラーメン、餃子、冷奴、卵かけご飯などにも使いやすい、実用的なお土産です。
どこで食べる?エリア別の楽しみ方
ほうとうを食べるなら:甲府・河口湖・山中湖周辺
ほうとうは山梨県内の広いエリアで食べられます。観光旅行に組み込みやすいのは、甲府、河口湖、山中湖周辺です。
甲府では、歴史スポットやワイナリー方面の観光と合わせやすく、河口湖や山中湖では、富士山の景色や湖畔散策と一緒に楽しめます。特に寒い季節や風が強い日の富士五湖エリアでは、熱々のほうとうがとてもありがたく感じられます。

観光地周辺の人気店は混みやすいため、ランチのピークを少し外すか、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。
富士吉田や河口湖周辺を車で回るなら、忍野八海や山中湖を組み合わせた1日ドライブもおすすめです。富士山周辺の効率的な回り方は、こちらの記事で紹介しています。
吉田のうどんを食べるなら:富士吉田・富士山駅周辺
吉田のうどんを食べるなら、中心は富士吉田エリアです。富士山駅周辺や市内各所にお店があり、北口本宮冨士浅間神社、富士急ハイランド、河口湖方面の観光とも組み合わせやすいです。
小規模なお店や地元の食堂のような雰囲気の店も多く、観光客向けに整えられたレストランとは違うローカル感があります。英語メニューやキャッシュレス決済が必ずあるとは限らないため、現金を用意して昼の時間帯に訪れると安心です。

富士吉田まで行くなら、富士山と五重塔を一緒に見られる新倉山浅間神社も人気の立ち寄りスポットです。アクセスや見どころは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
東京からのアクセスとおすすめ食べ比べプラン
日帰りなら、甲府か富士吉田のどちらかに絞る
東京からの日帰り旅行では、甲府方面か富士吉田・河口湖方面のどちらかに絞ることをお勧めします。
甲府へ行くなら、ほうとうを中心に、歴史スポットやワイナリー、昇仙峡などを組み合わせるのがおすすめです。新宿から甲府までは特急列車で行きやすく、駅周辺でも食事場所を探しやすいです。
富士吉田へ行くなら、吉田のうどんを昼に食べて、北口本宮冨士浅間神社や富士山駅周辺、河口湖方面を回ると自然です。新宿から高速バスを使えば、富士山駅や河口湖駅方面へアクセスしやすく、乗り換えも少なめです。
無理に日帰りで両方を食べようとすると、移動が多くなり、食事の時間も慌ただしくなります。日帰りなら「今回はほうとう」「今回は吉田のうどん」と決めた方が、旅の印象が残りやすいです。
1泊2日なら、富士吉田・河口湖で両方楽しむ
1泊2日なら、ほうとうと吉田のうどんを両方楽しむ旅程が組みやすくなります。
おすすめは、富士吉田・河口湖エリアを中心にするプランです。1日目の昼に吉田のうどんを食べ、午後は富士吉田や河口湖を観光。夜または翌日の昼にほうとうを食べると、自然な流れになります。
この食べ比べの面白さは、単に「どちらがおいしいか」を決めることではありません。山梨の中でも、甲府盆地、富士五湖、富士吉田では、気候や暮らし、観光の雰囲気が少しずつ違います。食べ物を通して、その違いを感じられるのが魅力です。

移動と営業時間の注意点
山梨は東京から行きやすいエリアですが、甲府方面と富士吉田・河口湖方面では移動ルートが異なります。日帰りで両方を回ろうとすると、思った以上に移動時間がかかることがあります。
また、吉田のうどん店は昼営業が中心のところも多く、夕方以降に行くと閉まっている場合があります。ほうとうは夕食として楽しめる店もありますが、河口湖周辺などでは19時〜20時頃に閉まる店や、ラストオーダーが早めの店もあります。海外旅行者の感覚で「夜8時以降に夕食を食べよう」と考えていると、選択肢が少なくなるかもしれません。
旅行前には、Google Mapsや公式サイトで最新の営業時間とラストオーダーを確認しておくと安心です。特に週末、連休、富士山周辺の観光シーズンは、少し余裕を持ったスケジュールにしておくのがおすすめです。
外国人旅行者が知っておきたいポイント
英語メニューはあるとは限らない
甲府や河口湖の観光客向け店舗では、英語メニューが用意されていることもあります。一方で、富士吉田の小さなうどん店では、日本語メニューのみの場合もあります。
その場合は、写真付きメニューがあるお店を選ぶと安心です。Google Mapsの写真や口コミを事前に見て、注文したいメニューを決めておくのもおすすめです。
覚えておくと便利な言葉は以下です。
- ほうとう(Hōtō / Houtou):Hoto flat noodles in miso-based broth
- 吉田のうどん(Yoshida no udon):Yoshida Udon
- すりだね(Suridane):Yamanashi-style spicy seasoning
- 肉うどん(Niku udon):Udon with meat
- 天ぷら(Tempura):Tempura
- きのこ(Kinoko):Mushrooms
- かぼちゃ(Kabocha):Japanese pumpkin / squash
- 馬肉(Baniku):Horse meat
- キャベツ(Kyabetsu):Cabbage
- ねぎ(Negi):Green onion / Welsh onion
- 油揚げ(Aburaage):Deep-fried tofu
- 卵(Tamago):Egg
- 大盛り(Ōmori / Oomori):Large portion
- 普通(Futsū / Futsuu):Regular size
特に吉田のうどんは量がしっかりしていることも多いので、初めてなら普通サイズから試すと安心です。
現金と食券スタイルに慣れておくと安心
山梨の観光地ではキャッシュレス決済が使える場所も増えていますが、ローカルな食堂では現金のみの場合があります。特に吉田のうどんの個人店を訪れるなら、1,000円札や小銭を用意しておくと慌てずに済みます。
吉田のうどん店では、先に食券を買ってから席に着くスタイルのお店も多くあります。店に入ったら、まず券売機や注文場所を確認し、食べたいメニューを選びます。卵、天ぷら、わかめなどを追加したい場合は、トッピングも一緒に選びます。
初めてだと少し戸惑うかもしれませんが、基本的には「メニューを選ぶ」「必要ならトッピングを追加する」「食券を渡す」という流れです。分からない場合は、前の人の動きを見ながら進めれば大丈夫です。
小さなお店では、昼のピーク時間に混み合うことがあります。食べ終わったら長居をせず、次の人に席を譲る雰囲気があることも知っておくと安心です。これは日本のローカル食堂ではよくあるスタイルです。

どちらを選ぶ?旅行スタイル別のおすすめ
初めて山梨の郷土料理を食べるなら、ほうとう
ほうとうは、鍋ごと運ばれてくる見た目や、かぼちゃの甘みが溶け込んだやさしい味わいが印象に残る料理です。甲府や河口湖、山中湖周辺で食べやすく、初めて山梨を訪れる人にもおすすめしやすい一品です。
温かい郷土料理をゆっくり食べたい人、寒い季節に旅する人、家族やカップルで入りやすい店を選びたい人には、ほうとうが向いています。

ローカル食堂の雰囲気を楽しみたいなら、吉田のうどん
吉田のうどんは、富士吉田周辺のローカル感を味わいたい人に向いています。太くて硬めの麺、店ごとに違う汁やトッピング、食券制のお店など、観光地のレストランとは違う楽しさがあります。
日本旅行に慣れていて、地元の人が普段食べているものを試したい人には、吉田のうどんがおすすめです。

まとめ
ほうとうと吉田のうどんは、どちらも山梨を代表するローカルフードですが、楽しみ方はかなり違います。
ほうとうは、鍋ごと出てくるあたたかい郷土料理をゆっくり味わいたい人におすすめです。吉田のうどんは、富士吉田のローカル食堂で、太く硬めの麺や店ごとの個性を楽しみたい人に向いています。
日帰りならエリアに合わせてどちらかひとつを選び、1泊2日なら富士吉田・河口湖周辺で両方を食べ比べるのも楽しいです。山梨を旅するなら、富士山の景色や湖だけでなく、土地に根づいた食文化もぜひ楽しんでみてください。


