京都には何度か訪れていて、次は少し違う場所へ足を延ばしたい。そんな人におすすめしたいのが、京都府と滋賀県にまたがる比叡山に広がる比叡山延暦寺です。
私たちは2026年7月半ば、京都から車で比叡山延暦寺に立ち寄りました。時間が限られていたため、今回は延暦寺の中心となる東塔地域だけを参拝しましたが、それでも所要時間は1時間を超えました。
東塔には坂道や階段が多く、地図で見る以上に歩きます。一方で、改修中の根本中堂の屋根を上から見たり、萬拝堂で薬師如来の御前立と不滅の法灯を間近に参拝したりと、工事中の今だからこそできる体験もありました。
この記事では、実際に東塔を歩いて分かったことに加え、西塔・横川の特徴、車と公共交通でのアクセス、宿坊、写経などを紹介します。
比叡山延暦寺は一つの建物ではない
「延暦寺」という名前から、一つの大きなお寺を想像する人も多いかもしれません。
しかし、延暦寺とは特定の一棟を指す名前ではありません。比叡山の各地に点在する堂塔や修行施設を合わせた、広大な寺院群の総称です。
山内は、次の三つの地域に分かれています。
- 東塔(とうどう)
- 西塔(さいとう)
- 横川(よかわ)
今回訪れた東塔は、延暦寺が始まった場所です。総本堂の根本中堂を中心に、大講堂や阿弥陀堂などの重要な建物が集まっています。西塔と横川は数キロ離れているため、延暦寺全体を一つの境内として短時間で歩き回れるわけではありません。
外国人旅行者に説明するなら、延暦寺は一つの寺というより、山全体に広がる仏教の聖地と考えると分かりやすいでしょう。

比叡山延暦寺はなぜ重要なのか
比叡山延暦寺は、伝教大師・最澄が788年に開いた寺院です。その後、日本の天台宗の総本山として、仏教を学び、修行する重要な場所になりました。
平安時代末期から鎌倉時代にかけては、法然、栄西、親鸞、道元、日蓮など、後に日本の主要な仏教宗派を開いた僧侶たちも比叡山で学びました。
そのため延暦寺は、天台宗だけに関係する寺院ではなく、後の日本仏教全体に大きな影響を与えた場所として、「日本仏教の母山」と呼ばれています。1994年には「古都京都の文化財」の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。
京都や奈良の寺院をすでに訪れたことがある人も、延暦寺を訪れると、それぞれの宗派がどのようにつながっているのかを理解しやすくなります。

京都から車で比叡山延暦寺へ
比叡山ドライブウェイは有料
私たちは京都市内から山中越えを通り、田の谷峠ゲートから比叡山ドライブウェイに入りました。
京都市内の北白川別当町交差点付近から延暦寺までは、公式案内で約25分です。ただし、京都市内の渋滞や観光シーズンの道路状況によって変わります。
比叡山ドライブウェイは有料道路です。田の谷峠から東塔または比叡山頂まで往復する場合、2026年時点の軽・普通車料金は1,700円。西塔・横川まで往復する場合は3,270円、反対側の仰木ゲートへ通り抜ける場合は2,430円です。行き先によって料金が変わります。
入口で通行券を受け取り、下山時に走行区間に応じた料金を精算します。私たちは現金で支払いました。利用できる決済方法は変更される可能性もあるため、少額の現金を用意しておくと安心です。
途中には琵琶湖を望む展望スポットも
ドライブウェイを走っていると、途中で視界が開け、琵琶湖や大津市街を見渡せる場所が何箇所かあります。
夢見が丘など、車を安全に停められる展望施設もあります。寺院へ向かう途中から、比叡山の高さを実感できるのも車で訪れる魅力です。
道路上で停車せず、必ず駐車スペースや展望施設を利用して、ぜひ山から見える美しい風景も楽しんでください。

東塔を1時間以上かけて歩いたルート
今回、東塔では次の順序で巡りました。
大講堂 → 鐘楼 → 根本中堂 → 文殊楼 → 萬拝堂 → 阿弥陀堂・法華総持院東塔
大講堂を参拝した後、鐘楼の前を通り、長い階段を下って根本中堂へ向かいました。根本中堂からは再び階段を上り、文殊楼を経由して萬拝堂へ。さらに萬拝堂から阿弥陀堂と法華総持院東塔へ向かう際にも、長い上り階段がありました。
地図上ではそれぞれの建物が近く見えますが、東塔地域は下ってから再び上る、高低差のある境内です。
堂内を参拝したり、改修中の根本中堂に設けられた修学ステージへ上ったりする時間も含め、私たちは東塔だけで1時間を超えました。
写真を撮りながら落ち着いて参拝するなら、東塔だけでも1時間30分程度は確保した方がよいでしょう。国宝殿や写経まで体験するなら、2時間以上あると安心です。

東塔で訪れた見どころ
大講堂|日本仏教の広がりを知る場所

大講堂の本尊は大日如来です。その左右には、比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像が祀られ、外陣には仏教や天台宗に関係する高僧の肖像画が掛けられています。
延暦寺がなぜ「日本仏教の母山」と呼ばれているのかを理解するには、大講堂を訪れるのがおすすめです。建物を見るだけでなく、祀られている僧侶の名前にも注目すると、延暦寺が日本仏教に与えた影響が具体的に見えてきます。
私たちが訪れたときには、堂内に僧侶の方がいらっしゃり、参拝者からの質問に気軽に答えていました。
格式の高い大寺院というと、少し緊張する人もいるかもしれません。しかし、分からないことを直接尋ねられる雰囲気があったのが印象的でした。
また大講堂の授与所でお守りを受け取った際には、授与所の方が「お暑い中、お越しくださいましてありがとうございました」と声をかけてくださいました。短いやり取りでしたが、暑い日に階段や坂道を歩いてきたことを気遣ってもらえたようで、うれしく感じました。
延暦寺は歴史的な文化財であるだけでなく、現在も僧侶が祈り、参拝者を迎えている寺院なのだと実感しました。
御朱印・お守り・写経で仏教文化に触れる
大講堂では、御朱印を受けたり、お守りや御朱印帳などの授与品を選んだりできる他に、その場で写経に参加することもできました。
御朱印(ごしゅいん)とは、寺院や神社を参拝した証としていただく墨書きと朱色の印です。観光地の記念スタンプとは意味が異なるため、先に仏様へ参拝してから受けるのが基本です。
写経(しゃきょう)は、仏教の経典を一文字ずつ書き写す修行です。大講堂では予約をしなくても、その場で参加できるようになっていました。
当日いただいたガイドマップでは、写経の所要時間は約60分と案内されていましたが、般若心経だけでなく、より短い経文も用意されています。滞在時間や経験に合わせて選べます。
私たちが訪れたときには、外国人旅行者も写経に挑戦していました。日本語の意味をすべて理解していなくても、見本に沿って一文字ずつ書き進められるため、参加しやすそうでした。
法要などによって受け付けていない場合もあるため、当日に僧侶や係の方へ確認してください。
鐘楼|山内に響く鐘を自分で撞く

大講堂から根本中堂へ向かう途中に、参拝者が自分で鐘を撞ける鐘楼があります。
私たちが訪れたときは、一人一打100円で鐘を撞くことができ、多くの人が順番を待っていました。
鐘楼を過ぎると、根本中堂へ向かって長い下り階段が続きます。歩いている間も次々に鐘が撞かれていたため、階段を下っているときや根本中堂を参拝しているときにも、山内に響く鐘の音が聞こえてきました。
外国人旅行者にとっても、建物を見るだけでなく、自分で参加できる分かりやすい寺院体験です。順番を守り、現地の案内に従って一人一打ずつ撞きましょう。
根本中堂|改修中だからこそ見られる屋根

根本中堂は延暦寺の総本堂で、東塔の中心となる建物です。本尊は、人々を病気や苦しみから救う仏として信仰される薬師如来です。
私たちが訪れた2026年7月は、大規模な改修工事が行われていました。建物全体は工事用の大きな覆いに囲まれていましたが、内部に設けられた「修学ステージ」から、根本中堂の屋根を上から見ることができました。
通常、歴史的な寺院の屋根をこの高さから見る機会はほとんどありません。屋根の曲線や構造、修復作業の様子を確認でき、完成した建物を眺めるのとは違った興味深さがあります。
修学ステージからの見学は、2026年12月頃までで終了する予定です。工事の進捗によって変更される可能性があるため、訪問前に最新情報をご確認ください。
文殊楼を経て萬拝堂へ|御前立と不滅の法灯を間近で参拝

根本中堂から階段を上ると、文殊楼があります。
文殊楼は延暦寺の山門にあたる建物で、上層内部には文殊菩薩像が安置されています。私たちの訪問時には仏像を直接拝観できなかったため、楼門の外観を見て萬拝堂へ向かいました。
根本中堂の改修に伴い、萬拝堂には、根本中堂の御本尊である薬師瑠璃光如来の御前立(おまえだち)と、不滅の法灯が特別奉安されています。
御前立とは、普段は公開されない秘仏の御本尊に代わり、参拝者が礼拝するために、その前に安置される仏像です。
萬拝堂では、薬師如来の御前立と不滅の法灯を、比較的近い場所から一緒に参拝できました。本来の根本中堂では内陣との間に距離があるため、仏像の姿と法灯をこれほど間近に見られるのは、改修期間中ならではの機会です。
不滅の法灯は、最澄が灯したと伝えられ、1,200年以上にわたって絶やさないよう守り継がれてきました。灯を自然に燃え続けさせたのではなく、僧侶たちが油を補い、世代を超えて守り続けてきたことに大きな意味があります。
萬拝堂の隣には休憩できる場所もありました。ここから阿弥陀堂と法華総持院東塔へ向かうには、再び長い階段を上るため、暑い日にはこの休憩所で一度足を休めておくとよいでしょう。
ガイドマップによると、御前立と不滅の法灯の特別奉安は2027年12月までの予定と案内されていました。工事の進行によって変更される可能性があるため、最新情報をご確認ください。
阿弥陀堂と法華総持院東塔|長い階段を上った先へ

萬拝堂から阿弥陀堂と法華総持院東塔へ向かうには、さらに長い階段を上ります。
大講堂から根本中堂へ下り、根本中堂から文殊楼へ上った後だったため、この最後の階段は思っていた以上に足にこたえました。特に暑い時期は、途中で休憩しながら無理のないペースで進むのがおすすめです。
階段を上った先にある阿弥陀堂は、亡くなった人や先祖を供養するためのお堂です。朱色を基調とした建物の中には、大きな阿弥陀如来が祀られています。
その隣に建つ鮮やかな朱色の塔が、法華総持院東塔です。最澄は仏教の教えによって国を守るため、日本各地に宝塔を建てることを計画しました。この東塔は、その中心となる役割を持つ建物です。
今回は時間が限られていたため、阿弥陀堂と法華総持院東塔は外観を中心に短時間で見学しました。それでも、長い階段を上った先に並ぶ二つの朱色の建物は印象に残りました。
国宝殿|十二神将像の特別展示

東塔の入場口を入ってすぐ左側に、延暦寺に伝わる仏像、仏画、書跡、工芸品などを収蔵・展示する国宝殿があります。国宝殿の拝観料は、東塔・西塔・横川の共通巡拝券とは別で、大人500円です。
私たちが訪れた際には、根本中堂に安置されていた十二神将像の特別展示が行われていました。十二神将とは、薬師如来を守護する十二体の神将です。一体ずつ表情や姿が異なり、十二支に対応する動物が表されている像もあります。
ガイドマップでは、国宝殿での特別展示は2027年12月までの予定と案内されていました。
今回は時間がなく、国宝殿には入りませんでした。国宝殿までゆっくり見学する場合は、東塔全体で少なくとも2時間程度を見ておくとよいでしょう。
東塔だけでもかなり歩く
東塔の主要な建物は一つの地域にまとまっていますが、平坦な境内ではありません。
私たちが歩いたルートでは、大講堂から鐘楼を通って長い階段を下り、根本中堂へ向かいました。その後は文殊楼へ階段を上り、萬拝堂から阿弥陀堂と法華総持院東塔へ向かう際にも、長い上り階段がありました。
つまり、単純に坂道を上り続けるのではなく、長く下った後に、何度か上り直すルートです。
7月だったこともあり、東塔地域だけの参拝でも、歩き終わる頃には汗だくになりました。比叡山は京都市内より標高が高く、平地より気温が低い場合がありますが、夏の階段や坂道は十分に暑く感じます。
歩きやすいスニーカーと飲み物を用意し、萬拝堂周辺の休憩所などを利用しながら歩くのがおすすめです。
脚力に不安がある場合は、すべてのお堂を急いで回ろうとせず、大講堂、根本中堂、萬拝堂を中心に参拝する方法もあります。

西塔|森の中に広がる静かな参拝エリア
西塔は、東塔から西へ約1キロ離れた地域です。延暦寺に現存する建築物の中で最も古い釈迦堂を中心に、二つのお堂が廊下で結ばれた「にない堂」などがあります。
また、東塔と西塔の境目には、最澄の廟所である浄土院があります。公式上は東塔地域に属しますが、西塔とあわせて訪れやすい場所です。
東塔に比べて堂宇が森に囲まれており、より静かな山寺の景観に触れられる地域です。
今回は訪れていないため実際の歩きやすさは確認できませんでした。西塔まで巡る場合は、移動と参拝の時間に余裕を持って計画するとよいでしょう。
横川|独自の歴史と信仰が残る山内最北の地域
横川は、西塔からさらに北へ約4キロ離れています。
本堂の横川中堂は、遣唐使船をモデルにしたとされる朱色の建物です。斜面に張り出すように建てられ、船が山中に浮かんでいるように見えます。
このほか、現在のおみくじの起源に関係するとされる元三大師堂や、『往生要集』を著した源信ゆかりの恵心堂があります。
東塔とはかなり離れているため、横川まで訪れるなら、短時間の立ち寄りではなく半日以上の計画がおすすめです。
東塔・西塔・横川の移動方法

ガイドマップによると、地域間の移動時間は次のように案内されていました。
延暦寺バスセンター・東塔から西塔
- シャトルバス:約3分
- 自動車:約3分
- 徒歩:約30分
西塔から横川
- シャトルバス:約10分
- 自動車:約10分
- 徒歩:約90分
案内媒体によって、所要時間に数分程度の違いがあります。乗り継ぎやバスの待ち時間、駐車場から各お堂まで歩く時間は別に必要です。
徒歩ルートはありますが、三塔間を歩くだけでも約2時間かかります。さらに各地域の参拝時間が加わるため、三塔を徒歩で巡る場合は、一般的な寺院散策ではなく、参拝を組み合わせたハイキングと考えた方がよいでしょう。
ドライブウェイは歩行者の通行が禁止されています。徒歩の場合は、必ず案内された参道や自然歩道を利用してください。
体力に自信がない人や、効率よく三塔を巡りたい人は、山内シャトルバスの利用がおすすめです。
公式サイトや案内図によって所要時間には多少の違いがあります。出発地点、利用する道、バス停から各お堂までの距離も異なるため、上記はあくまで目安と考えてください。バスの待ち時間や駐車、各地域での参拝時間は別に必要です。
京都から公共交通で行く方法と料金
以下の料金は、2026年時点の大人片道運賃です。季節によって運休や時刻変更があるため、訪問前に最新情報をご確認ください。
直通バス|乗り換えが少なく分かりやすい
京都駅、三条京阪、出町柳方面から、比叡山ドライブバスで延暦寺バスセンターへ向かえます。
京都駅または三条京阪から延暦寺バスセンターまでの片道運賃は790円、出町柳からは610円が目安です。京都駅からの所要時間は約70分です。
乗り換えがないため、初めて訪れる外国人旅行者には分かりやすい方法です。
ただし、季節運行で便数も多くありません。帰りの最終バスを到着時に確認しておきましょう。
京都・八瀬ルート|ケーブルとロープウェイを楽しむ
出町柳駅から叡山電車で八瀬比叡山口へ向かい、叡山ケーブル、叡山ロープウェイ、山内シャトルバスを乗り継ぎます。
片道料金の目安は次のとおりです。
- 出町柳駅から八瀬比叡山口駅:280円
- 叡山ケーブル:600円
- 叡山ロープウェイ:400円
- 比叡山頂から東塔方面へのシャトルバス:250円
合計は片道約1,530円です。
乗り換えは多くなりますが、電車、山の斜面を上るケーブルカー、景色を楽しめるロープウェイ、バスの4種類の交通機関を楽しめます。
叡山電車、ケーブル、ロープウェイ、山内シャトルバスがセットになった「比叡山日帰りきっぷ」は、大人3,100円です。延暦寺の巡拝料は含まれていません。
びわ湖・坂本ルート|門前町と組み合わせやすい
京都駅からJR湖西線で比叡山坂本駅へ向かい、連絡バスと坂本ケーブルを利用する方法です。
料金の目安は次のとおりです。
- 京都駅からJR比叡山坂本駅:約420円
- 比叡山坂本駅からケーブル坂本駅:230円
- 坂本ケーブル:960円
合計は片道約1,610円です。
坂本ケーブルは片道約11分。京都駅から延暦寺までの公式所要時間は、乗り継ぎを含めて約40分と案内されています。
坂本は延暦寺の門前町として発展した地域です。日吉大社や石垣の町並みも見たい人には、このルートが向いています。
三塔を巡るならフリーパスも検討
比叡山内のシャトルバスが乗り放題になる「比叡山内バス1日乗車券」は、大人1,200円です。
京都側の八瀬ルート、坂本ケーブル、山内バスを組み合わせて比叡山を横断できる「比叡山フリーパス」は、大人3,500円です。
東塔だけなら個別に切符を買う方が安い場合がありますが、西塔や横川まで巡るならフリーパスが便利です。
東京から行く場合
東京からは、東海道新幹線で京都駅へ移動し、京都駅から直通バスなどを利用するのが分かりやすい方法です。
東京から京都まで約2時間強、京都駅から延暦寺まで約70分かかります。乗り換えや待ち時間を含めると、片道3時間30分以上を見ておいた方がよいでしょう。
東京からの日帰り先として選ぶより、京都または滋賀に宿泊する旅程の一部として組み込む方が現実的です。
境内に泊まれる宿坊「延暦寺会館」
東塔地域には、延暦寺の境内で宿泊できる唯一の施設「延暦寺会館」があります。
公式には宿坊と案内されていますが、昔ながらの質素な寺の一室に泊まり、僧侶と同じ厳しい修行生活を送る施設とは少し異なります。
琵琶湖を望む和室、ベッドを備えた洋室、浴室付きの和洋室、シャワーを備えたリトリートツインルームなどがあり、設備面はホテルや旅館に近い宿泊施設です。
一般的なホテルとの違いは、延暦寺の境内で夜と朝を過ごし、朝のお勤めなどを通して寺院の日常に触れられることです。僧侶との対話や法話を体験できるプログラムもありますが、開催日や予約、追加料金の有無は内容によって異なります。
さらに、法話、坐禅、萬拝堂での不滅の法灯参拝を組み合わせた約90分の修行体験もあります。料金は大人1人5,500円で、宿泊とは別に予約が必要です。
延暦寺会館は、快適なホテル滞在と本格的な修行体験の中間にある宿泊施設と考えると分かりやすいです。そのため、寺院での宿泊が初めての人や、日本の宗教文化に慣れていない外国人旅行者でも利用しやすいでしょう。
厳しい修行には抵抗があるものの、日本の寺院で一晩を過ごし、仏教文化に触れてみたい人にとって、利用しやすい宿泊の選択肢です。
格式ある聖地でありながら、旅行者にも開かれている

比叡山延暦寺を訪れる前は、日本仏教を代表する格式ある寺院という印象が強く、少し構えて参拝する場所を想像していました。
しかし、実際に訪れて感じたのは、長い歴史と格式を守りながら、一般の旅行者も自分なりの方法で仏教文化に触れられる場所だということです。
大講堂では僧侶の方に質問でき、お守りや御朱印を受け、写経に挑戦できます。鐘楼では自分で鐘を撞くことができ、宿坊では比較的快適な環境で寺院の朝を体験できます。
東塔には休憩所や飲食施設があり、ドライブウェイの途中には展望スポットやレストランがあります。比叡山頂には、庭園と印象派の絵画をテーマにしたガーデンミュージアム比叡もあります。営業は季節限定です。
こうした施設があるからといって、延暦寺が信仰の場としての意味を失っているわけではありません。
僧侶の祈りや修行が今も続く場所でありながら、宗教に詳しくない旅行者も、鐘を撞いたり、写経をしたり、僧侶に質問したりしながら、それぞれの距離感で仏教文化に触れられます。
聖地としての格式と、初めて訪れる人を拒まない親しみやすさが共存していることが、比叡山延暦寺の大きな魅力だと感じました。
外国人旅行者が知っておきたいポイント
延暦寺の公式サイトと周辺観光サイトには英語ページがあります。ただし、堂内の細かな説明がすべて英語で表示されているとは限りません。
歴史を深く知りたい人は、英語ガイド付きツアーを利用するのも一つの方法です。
寺院では、堂内に入る前に帽子を外し、大きな声で話さない
撮影禁止の表示がある場所では、スマートフォンを含めて撮影を控えて
靴を脱いで入る場所もあるため、脱ぎ履きしやすい靴が便利
- ただし境内には階段や坂道が多いので、サンダルより歩きやすいスニーカーが適しています
また、東塔は「ひがしとう」ではなく「とうどう」、西塔は「にしとう」ではなく「さいとう」と読みます。横川は「よかわ」です。バス停や案内板を確認するときに、読み方を知っていると迷いにくくなります。
まとめ|伝統を守りながら、現代の旅行者にも開かれた聖地
比叡山延暦寺は、仏教に詳しい人だけが訪れる場所ではありません。
日本仏教の歴史を知りたい人、京都の有名観光地とは違う場所へ足を延ばしたい人、夫婦やカップルで落ち着いて文化に触れたい人にもおすすめです。
東塔だけなら京都観光の半日コースに組み込めます。西塔や横川まで巡るなら、半日から1日を確保してください。さらに宿坊に泊まれば、一般の参拝者が少ない夕方や朝の比叡山も体験できます。
格式のある仏教の聖地でありながら、現代の旅行者にも無理のない形で開かれていること。
それが、実際に訪れて感じた比叡山延暦寺の魅力でした。
東塔だけでも、日本仏教の歴史、現在も続く信仰、そして改修中だからこそ見られる特別な姿に触れられました。西塔や横川まで巡れば、同じ延暦寺の中でも異なる景観や信仰の歴史を知ることができます。
京都や滋賀を何度か訪れていて、次はもう少し深く日本文化に触れたい人には、ぜひ旅程に加えてほしい場所です。短時間なら東塔を中心に、時間に余裕があれば三塔や宿坊まで、自分の旅のスタイルに合わせて比叡山を体験してみてください。
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