仙台を満喫したら、少しだけ足を延ばして、さらに近辺の魅力を探しに行きませんか?
仙台から電車で30分ほどの場所にある塩竈は、生鮮マグロの水揚げで日本一を誇る港町。なかでも生鮮メバチマグロの水揚げ量で知られ、人口あたりの寿司店数が日本一ともいわれる「寿司の街」です。新鮮なマグロや三陸の魚を食べたい方には、ぜひ候補に入れてほしい場所です。
さらに塩竈には、東北で古くから信仰を集めてきた鹽竈神社、同じ境内にある志波彦神社、「塩竈」という地名にもつながる御釜神社があります。宮城を代表する日本酒「浦霞」の醸造元もこの街にあります。
東京・京都・大阪といった定番の観光地をすでに経験し、次の日本旅行では地方にも少し足を延ばしてみたい。そんなリピーター旅行者にもおすすめしたい、仙台から気軽に訪れられる街です。
「塩竈」って、なぜこんな名前?
日本人なら「塩」と「竈」という漢字から、塩を作る釜のようなものを想像するかもしれません。
実際、「塩竈」とはもともと海水を煮て塩を作るための竈、つまり製塩用のかまどを意味する言葉でした。この地域が塩作りで知られていたことから、やがて「塩竈」が地名として定着したとされています。
この土地の塩作りと深く関わるのが、鹽竈神社の御祭神・鹽土老翁神(しおつちおぢのかみ)です。
日本神話では海に深く関わり、人を目的地へ導く神として登場します。鹽竈神社には、この地に残って人々に塩の作り方を教えたという伝承もあります。
その塩作りの伝承が残されているのが、後ほど紹介する御釜神社です。
実際に鹽竈神社の授与所には塩も並んでいました。
地名、神社、塩作りの伝承がすべてつながっていることを知ってから歩くと、塩竈という街をより深く楽しめます。
東京・仙台から塩竈へのアクセス

東京から向かう場合は、まず東北新幹線で仙台へ。
仙台駅からは、JR東北本線の塩釜駅まで約16分、JR仙石線の本塩釜駅まで約28分。どちらも乗り換えなしで行くことができます。
鹽竈神社、御釜神社、浦霞、港周辺を歩くなら、本塩釜駅を起点にするのが便利です。一方、今回訪れた廻鮮寿司 塩釜港は塩釜駅の近くにあります。
少し分かりにくいのが、「塩釜駅」と「本塩釜駅」は名前が似ていますが、別の路線にある別の駅ということ。
さらに、市名は「塩竈」、駅名には「塩釜」、神社は旧字体で「鹽竈神社」と表記されます。地図アプリで検索するときには覚えておくと安心です。
仙台に滞在し、そのうち半日から1日を塩竈に使うと旅程を組みやすいでしょう。
鹽竈神社|塩竈を代表する神社

塩竈でまず訪れたいのが鹽竈神社です。
塩釜湾を望む小高い丘・一森山に鎮座し、塩業や漁業、家内安全、交通安全、厄除け、安産などの神として古くから信仰されています。
正面の表参道には202段の石段があります。
下から見上げるとなかなかの急勾配で、私も途中で息が切れ、階段の少し広くなった場所で一度呼吸を整えてから上りました。
階段を上りながら高い場所にある神社へ向かうのも、日本の社寺参拝らしい体験の一つと考えて挑戦してみるのもよいでしょう。

とはいえ、無理をする必要はありません。
表参道以外にも、よりなだらかなルートがあります。私たちは表参道から上りましたが、帰りは志波彦神社へ立ち寄った後、別のなだらかな階段から下りました。
境内では、妊婦さんや赤ちゃんを連れた家族も多く見かけました。
鹽竈神社は安産守護の神社としても知られ、現在も安産祈願や、赤ちゃんの健やかな成長を願う日本の習慣「お宮参り」で多くの家族が訪れます。
歴史ある神社を見るだけでなく、現在も日本人の生活の節目に神社が深く関わっていることを感じられる場所です。
境内には「撫で牛」と呼ばれる牛の像もあります。牛がよだれを長く垂らすことになぞらえ、商売も細く長く続くようにと願われたもので、撫でると開運や商売繁盛の御利益があると伝えられています。


志波彦神社|高台から塩釜湾を眺める

鹽竈神社と同じ境内には、志波彦神社(しわひこじんじゃ)があります。
同じ境内にあるため一つの神社のようにも見えますが、それぞれ異なる歴史と御祭神を持つ神社です。現在は「志波彦神社・鹽竈神社」として一緒に祀られ、両社をあわせて参拝することができます。
志波彦神社で祀られている志波彦神は、農業守護をはじめ、国土開発、殖産、商工業の神として信仰されています。
ここでは社殿だけでなく、海側にも目を向けてみてください。
両神社がある一森山は塩釜湾を望む高台にあります。私たちが訪れた日も、志波彦神社のあたりから街の先に海を見ることができました。
長い石段を上ってきた後だからこそ、高台からの景色も印象に残りました。
御釜神社|「塩竈」という地名につながる不思議な場所

鹽竈神社から街へ下りたら、御釜神社にも立ち寄ってみてください。
大きな神社ではなく、知らなければそのまま通り過ぎてしまいそうな場所です。
ここには、鹽土老翁神が人々に塩の作り方を教えた際に使ったと伝えられる4基の鉄製の釜「四口の神釜(よくちのしんかま)」が祀られています。
神釜には常に水があり、古くから世の中に異変や吉兆があると水の色が変わると伝えられてきました。「日本三奇」の一つにも数えられています。
私たちが訪れたとき、神釜のある場所には鍵がかかっており、自由に見ることはできませんでした。
神釜を拝観したい場合は、神社の方に声をかけ、初穂料100円を納めると見ることができます。
私たちが見たときは、水は赤茶色からオレンジ色のように見えました。訪問時は撮影禁止でした。
不思議な伝承も興味深いですが、ここまで来ると「塩竈」という地名と、古代から続く塩作りの歴史がつながって見えてきます。
日本酒好きなら浦霞 酒ギャラリー

御釜神社の近くには、宮城を代表する日本酒「浦霞」の醸造元・佐浦があります。
併設された浦霞 酒ギャラリーでは、日本酒や酒器などを購入でき、きき酒も楽しめます。
私たちが訪れたのは日曜日だったため、残念ながらお休みでした。
現在、日曜日は通常の定休日です。日本酒が好きなら、できれば営業日に合わせて訪れるのがおすすめです。
営業時間や休業日は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認してください。
塩竈に来たら、やはりマグロが食べたい
塩竈を訪れるなら、マグロを食べる時間はぜひ旅行プランに入れておきたいところです。
楽しみ方はいくつかあります。
寿司店で食べる

港町・塩竈には、すし哲、鮨しらはた、亀喜寿司、大寿司など、地元で長く親しまれている寿司店があります。
カウンター形式の寿司店でもセットメニューを用意している店があり、握りなら一人3,000~5,000円前後をひとつの目安にすると選びやすいでしょう。
外国人旅行者でカウンター寿司に少し入りにくさを感じる場合は、公式サイトでメニューや料金を確認してから訪れると安心です。
マグロを中心に食べるなら「まぐろ専門店 がお」
「寿司より、とにかくマグロを食べたい」という人には、本塩釜駅近くの「まぐろ専門店 がお」もあります。
マグロを使った丼やマグロのレアカツなどを楽しめる店で、私たちが前を通ったときには長い列ができていました。
今回は入店しませんでしたが、マグロそのものをしっかり食べたい人には気になる店です。
市場で自分だけの海鮮丼を作る
もう一つは塩釜水産物仲卸市場。
一般の旅行者も利用でき、市場内で好きな刺身や魚介を選び、ご飯と組み合わせて自分だけの「マイ海鮮丼」を作ることができます。
市場を歩きながら、自分で魚を選ぶこと自体が旅の体験になります。
基本的に水曜日が休市で、午後になると閉まる店も増えるため、訪れるなら朝から午前中がおすすめです。
詳しい営業日や時間は公式サイトで確認してください。
今回行った「廻鮮寿司 塩釜港」

今回私たちが選んだのは、JR東北本線の塩釜駅から歩いて行ける廻鮮寿司 塩釜港です。
食べログの回転寿司部門で全国1位になったこともある人気店です。
私たちは予約なしで、日曜日の昼に訪れました。
入口の受付機で発券し、訪問時は電話番号を登録すると、順番が近づいた際に電話で知らせてもらえる仕組みになっていました。
その時の待ち時間は約1時間半。
人気のお店なので、特に週末はある程度の待ち時間を覚悟して訪れた方がよさそうです。
実際に食べて印象的だったのは、ネタの大きさと新鮮さ。
マグロは冷凍ではない生ならではのなめらかさがあり、港町で食べる新鮮さを感じました。
その日はサーモンの炙り、ヒラメのえんがわ、〆にしんなども注文。サーモンやニシンはとろけるような味わいで、ヒラメのえんがわは厚みがあり、コリコリとした食感が印象に残りました。

価格は一皿180円程度から、ネタによっては1,000円近くするものまでありましたが、ネタの大きさと新鮮さを考えると妥当だと感じます。


一品料理、汁物、日替わりメニューもあり、お寿司に合う宮城の日本酒も何種類か用意されていました。
私たちは「阿部勘」をいただきました。クセが少なくすっきりと飲みやすく、お寿司との相性もとてもよかったです。
並んでも食べる価値があると感じたお店でした。
なお、廻鮮寿司 塩釜港には仙台店のほか、東京にも店舗があります。銀座店は本店とは異なる高級カウンター鮨のスタイルです。最新の店舗情報は公式サイトで確認できます。
時間があれば港へ|マリンゲート塩釜
本塩釜駅から海側へ歩くと、マリンゲート塩釜があります。
ここは松島方面への観光船などが発着する、塩竈の港の玄関口です。
時間に余裕があれば、塩竈から船で松島へ向かう旅行プランも組めます。
神社や街中を歩いた後に港まで行くと、高台から眺めていた海を今度は間近に見ることができます。
船を利用する場合は、天候や季節によって運航状況が変わるため、当日の最新情報を確認してください。
塩竈を歩くなら
鹽竈神社、志波彦神社、御釜神社、浦霞、マリンゲート塩釜など、本塩釜駅周辺の主要スポットは徒歩で回ることができます。
本塩釜駅
↓
鹽竈神社・志波彦神社
↓
御釜神社
↓
浦霞 酒ギャラリー
↓
マリンゲート塩釜
このあたりまでなら街歩きとして楽しめます。
一方、廻鮮寿司 塩釜港は塩釜駅側、塩釜水産物仲卸市場はさらに東側にあります。
市場や寿司まで入れる場合は、すべて徒歩にこだわらずJRやタクシーを組み合わせる方が楽です。
市場へ行くなら午前中に市場を訪れ、その後本塩釜駅周辺へ移動するのがおすすめです。
なお、市場で海鮮丼をしっかり食べてから寿司店へ行くとかなりの量になります。「市場で食べる」か「寿司店をメインにする」かを決めておくと、予定を組みやすくなります。
小さな神社や個人経営の飲食店では、英語対応や支払い方法が店によって異なります。現金を少し用意し、地図アプリや翻訳アプリを使えるようにしておくと安心です。
一方、本塩釜駅には観光案内所があり、塩竈市観光物産協会のウェブサイトには英語ページも用意されています。
まとめ|仙台から少し足を延ばして塩竈へ

仙台から電車で約30分。
塩竈では、新鮮なマグロや寿司だけでなく、歴史ある鹽竈神社、高台から海を望める志波彦神社、「塩竈」という街の名前にもつながる御釜神社、日本酒「浦霞」などを楽しめます。
塩、神社、海、港、魚、日本酒が、この土地の歴史の中でつながっているのも塩竈のおもしろいところです。
仙台の主要スポットをすでに訪れた人、日本の地方都市も歩いてみたい人、新鮮なマグロや寿司、日本酒が好きな人には特におすすめです。
半日でも訪れることはできますが、神社や街歩きに加えて食事までゆっくり楽しむなら、一日取っておくと余裕があります。
仙台を満喫したら、次は少しだけ足を延ばして塩竈を歩いてみてはいかがでしょうか。
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